宇久島の風景

防災・環境対策

自主環境影響評価
(アセスメント)

本事業は、国や自治体から自主環境影響評価(アセスメント)の実施の対象外と判断されています。しかしながら、私たちは豊かな宇久島の自然(景観、生態系など)を保全するため、環境分野の学識経験者が主体となり、地元自治体をオブザーバーとして発足した「環境保全検討会」の指導のもと自主的に環境影響評価を行っています。

環境影響評価
(アセスメント)とは

環境アセスメントとはどんな制度ですか?
開発事業の内容を決めるに当たって、それが環境にどのような影響を及ぼすかについて、あらかじめ事業者自らが調査、予測、評価を行い、その結果を公表して一般の方々、地方公共団体などから意見を聴き、それらを踏まえて環境の保全の観点からよりよい事業計画を作り上げていこうという制度です。(環境省HPより)
具体的にどんな項目を調査、予測、評価をするのですか?

「大気環境」(騒音、振動など)「水環境」のほか、動植物など生態系や景観などへの影響も対象となります。

宇久島メガソーラー事業(仮称)は、なぜ、環境アセスメントの実施が義務付けられていないのですか?
環境影響評価法が改正され、2020年4月1日から、出力4万kw以上の太陽光発電事業も新たに環境アセスメントの対象になりました。しかし、本事業は改正前に電気事業法に基づく発電所全体の工事計画届を提出していたため、国から実施の対象外と判断されました。

参考

和田有一朗議員(日本維新の会)の質問に対する井上博雄氏(資源エネルギー庁)の答弁
第211回国会 予算委員会第七分科会 第2号(令和5年2月21日(火曜日))

長崎県も独自の環境影響評価に関する条例を定めていますが、そことの関係はどうなっているのですか。
長崎県の条例では、「土地の形質の改変に係る区域」の面積が30ha以上の事業は、環境影響評価の実施が義務付けられています。「土地の形質の改変」とは、具体的に土壌の掘削や盛土などです。本事業の場合、交直変換所建設や工事用道路の整備、太陽光パネルを設置する際の杭などが該当しますが、これらの総面積は条例の基準を下回る面積となるため、実施義務の対象外と県に判断されています。

防災対策

事業区域内は極力、自然地形を生かし全面的に緑化を行うことで雨水の流出を抑制します。雨水が極端に集まるような場所には調整池を設置し洪水調整を行い、それ以外は造成やコンクリート構造物の設置を極力避け、仮設の「しがら柵」「やげん緑化水路」「沈砂池」などで工事期間中の土砂流出防止対策を適切に行います。また、安全面を考慮し、事業期間中に必要と判断される場合には、適宜そのまま残す対応を検討します。さまざまな分野の専門家からの指導を受けながら信頼性の高い防災対策の構築をしてまいります。

しがら柵 畦畔による雨水の一時滞留留
木の根

傾斜地も含め木の根を残し、土砂崩れを防ぎます。

自然の浸水性も生かせる「緑化水路」 「しがら柵」

生態系の保全

雨水による表土流出を防止することで、生態系や生活環境への影響を低減します。特に島内に生息する希少な動植物については専門家指導のもと、保全地点の設定や事業区域外の安全な場所への移植などを積極的に進めています。

ムジナノカミソリ

「ムジナノカミソリ近似種」

「ムジナノカミソリ近似種」

工事現場の作業員には、保護する動植物や見つけた際の対応策などを記したパンフレット(約80ページ)を配布。作業現場などで、注意喚起を促すポスターや注意を促す標識を掲示しています。これらは毎年モニタリングの結果によって更新をしています。

作業現場に掲示している
ポスターの一例

このような猛禽類の行動をみたら連絡しよう!ミサゴ ハヤブサ
このような植物にも注意しよう!ヒメツルアヅキ ハマベノギク ノヒメユリ

景観への配慮

家屋や牛舎などの近隣にパネルを設置する際、関係者と事前に調整し、景観を損なわないようパネルの位置や向きを調整、ツバキなどの植樹で、パネルが目立たないようにしたり、反射光を軽減させたりします。

パネル設置のイメージ図

パネル設置のイメージ

ツバキ写真

ツバキ

小値賀諸島からの景観にも配慮

宇久島と隣接する小値賀諸島には、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産資産である「野崎島の集落跡」があります。
また、小値賀諸島が文化的景観として国の重要文化財に指定されています。
このため、島内の景観だけでなく、小値賀諸島から宇久島を見た際の景観にも影響がないかを調査し評価をしています。国際記念物遺跡会議(ICOMOS)、文化庁、長崎県から評価していただきました。

国際記念物遺跡会議
(ICOMOS)とは

世界各地の文化遺産保護にかかわる国際的な非政府組織(NGO)。
ユネスコの諮問機関で、世界文化遺産登録の審査などを行っています。

ICOMOSの評価書の一部テキスト

ICOMOSの評価書の一部

文化的景観に関する総合調査

国内でも唯一、文化的景観保全を専門に取り扱う機関「九州産業大学景観研究センター」と共同で、島内に昔から残る石垣や水路などを確認する調査を昨年12月から始めています。
「文化的景観」とは、人々の暮らしを伝える遺構で、宇久島では農業や漁業などに関連する名残りがいくつか残っています。また、そういった場所には希少種の生物や植物も生息しており、現在、その保全対象の選定や手法について調査を進めています。

島内に残る古い石垣写真

島内に残る古い石垣

防風林写真

防風林