本事業は、国や自治体から自主環境影響評価(アセスメント)の実施の対象外と判断されています。しかしながら、私たちは豊かな宇久島の自然(景観、生態系など)を保全するため、環境分野の学識経験者が主体となり、地元自治体をオブザーバーとして発足した「環境保全検討会」の指導のもと自主的に環境影響評価を行っています。
「大気環境」(騒音、振動など)「水環境」のほか、動植物など生態系や景観などへの影響も対象となります。
環境省HP 環境省 環境影響評価情報支援ネットワーク
和田有一朗議員(日本維新の会)の質問に対する井上博雄氏(資源エネルギー庁)の答弁
第211回国会 予算委員会第七分科会 第2号(令和5年2月21日(火曜日))
長崎県HP 長崎県環境影響評価条例の対象事業 | 長崎県
事業区域内は極力、自然地形を生かし全面的に緑化を行うことで雨水の流出を抑制します。雨水が極端に集まるような場所には調整池を設置し洪水調整を行い、それ以外は造成やコンクリート構造物の設置を極力避け、仮設の「しがら柵」「やげん緑化水路」「沈砂池」などで工事期間中の土砂流出防止対策を適切に行います。また、安全面を考慮し、事業期間中に必要と判断される場合には、適宜そのまま残す対応を検討します。さまざまな分野の専門家からの指導を受けながら信頼性の高い防災対策の構築をしてまいります。
傾斜地も含め木の根を残し、土砂崩れを防ぎます。
雨水による表土流出を防止することで、生態系や生活環境への影響を低減します。特に島内に生息する希少な動植物については専門家指導のもと、保全地点の設定や事業区域外の安全な場所への移植などを積極的に進めています。
「ムジナノカミソリ近似種」
「ムジナノカミソリ近似種」
工事現場の作業員には、保護する動植物や見つけた際の対応策などを記したパンフレット(約80ページ)を配布。作業現場などで、注意喚起を促すポスターや注意を促す標識を掲示しています。これらは毎年モニタリングの結果によって更新をしています。
家屋や牛舎などの近隣にパネルを設置する際、関係者と事前に調整し、景観を損なわないようパネルの位置や向きを調整、ツバキなどの植樹で、パネルが目立たないようにしたり、反射光を軽減させたりします。
パネル設置のイメージ
ツバキ
宇久島と隣接する小値賀諸島には、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産資産である「野崎島の集落跡」があります。
また、小値賀諸島が文化的景観として国の重要文化財に指定されています。
このため、島内の景観だけでなく、小値賀諸島から宇久島を見た際の景観にも影響がないかを調査し評価をしています。国際記念物遺跡会議(ICOMOS)、文化庁、長崎県から評価していただきました。
世界各地の文化遺産保護にかかわる国際的な非政府組織(NGO)。
ユネスコの諮問機関で、世界文化遺産登録の審査などを行っています。
ICOMOSの評価書の一部
国内でも唯一、文化的景観保全を専門に取り扱う機関「九州産業大学景観研究センター」と共同で、島内に昔から残る石垣や水路などを確認する調査を昨年12月から始めています。
「文化的景観」とは、人々の暮らしを伝える遺構で、宇久島では農業や漁業などに関連する名残りがいくつか残っています。また、そういった場所には希少種の生物や植物も生息しており、現在、その保全対象の選定や手法について調査を進めています。
島内に残る古い石垣
防風林